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新年のご挨拶
2023-01-01
会員の皆様並びに関係の皆様へ

新年のご挨拶

一般社団法人経営研究所を代表して
代表理事 内野 崇


皆様  新年あけましておめでとうございます。
数年来続くコロナ禍は終焉とはならず、昨年もオンライン中心の開催と相成りました。
皆様におかれましては、これまでにも増して熱心にご参加を賜り、厚くお礼を申し上げます。

さて、昨年を振り返りますと、DXの進展&SDGsの新展開の一方で、コロナ禍の広がり、想定外の様々な国際紛争・経済的混乱に加え、天然災害の頻発した年でもございました。
そうした状況にあって、
①改めて、文明のあり方が問い直され、
②“資本主義と民主主義"の現況と未来について様々な問題提起がなされる中で、
③株式会社制度のあり方(その存在理由、社会性と経済性の両立等)をめぐっても、根底的な問い直しがなされました。
④併せて、会社とそこで働く人々との間のタイトな関係についても、見直しを迫る意見が数多く出され、個人の自律化、自立化の視点に立った、関係再構築の機運が高まってきたように思います。

上記のような問題意識のもとに様々な改革デザインの構想が提示され、適宜、手が打たれたにもかかわらず、一方で、日本企業(とりわけ大企業)を覆っている深刻な現実―以下の3つの過剰バイアスの存在―の”広がりと浸潤”が、とても気になります。

ⅰ)継続性重視・現状維持過剰バイアス(面倒を避け、その場しのぎの横行、既得権益の温存につながる)
ⅱ)管理過剰バイアス(コンプライアンス重視の姿勢が大切なことは言うまでもありませんが、様々なルール
  の厳格化、ガバナンスコードのコンプラ化とも相まって、忖度、同調圧力、上意下達がむしろ強化され、
  心理的安全性の欠如を助長した面はないか、息苦しいまでの厳格な過剰管理を生み出していないか?)
ⅲ)結果として、リスク回避過剰バイアス(ビジネスとイノベーションには、リスクはつきものでありますが、
  自己保身が蔓延し、だれもリスクを取ろうとしない、結果として大いなる停滞と退化を招いていないか?)

この3つの過剰バイアスの病理が連動して、連鎖的なスパイラルダウンをもたらしているとしたら事態は深刻です。併せて、我が国のGDPを見るに、低成長ながら、依然として世界第3位(1位米国、2位中国 2022年IMF公表値)を堅持し、成熟国ながら経済は安定的に推移しており、

ⅰ)欧米先進国に比べたら、失業率は低く、格差も少なく、治安も良い。
ⅱ)世界的に見ても、我が国の社会インフラ、公共インフラは充実しており、安全安心のお国柄である。
ⅲ)共同体型の良き面たる、パブリックマインド、思いやり、助け合い、チームワーク、共生社会のスタンスが
  重視され、辛くもその体裁は保たれている。
ⅳ)イノベーション&変化が生み出すリスクとマイナスの副作用(例えば、その典型としての米国型のディスト
  ピア【格差と貧困の拡大、社会不安の増大】等)の回避と防止について歴史的な学習の蓄積があり、新しい
  事に対して、慎重に時間をかけて挑むスタンスがベースにある。

こうした諸点については賛否両論があり、上記の3つの過剰バイアスの源泉、遠因ではないかという議論“があることも確かですが、一方で些か時代がかった表現で恐縮ですが、“たらいの水と一緒に赤子を流す(やりすぎて裏目に出る!)”ことになりはしないか?という杞憂 ―そうした過剰バイアス是正のための劇薬的施策が、却って日本の良さを押し流してしまうのではないかという心配もあります。
だとしたら、事態は、ますます深刻!ということになります。
日本的な良さを堅持しつつ、いかにチャレンジを持続するか―“個と全体、安定と変革”のトレードオフではなく、それらのシナジーの実現が、問われているように思います。

今年は、“不易流行”を是としつつ、どうしたら、個人が困難な状況にしっかり向き合い、自分らしさと活力、そして創造性を取り戻せるのか?
また心理的安全性を担保しつつ、チームをきちんとワークせしめ、個と全体の調和、安定と変革のシナジーの実現をどうめざしたらよいのか?
併せて、そうした共成長のシナリオを実現するための企業経営のあり方、変革型経営者論(トップの人間像と人間観)に真っ向から取り組みたいと考えています。

本年度も、我が国を代表する第一級の論客にお越しいただき、充実の企画にて大いに議論を深め、知の地平の開拓と実践知の深耕を進めて参る所存でございます。
昨年と相変わりなく、皆様のご参加と厚いご支援を伏してお願い申し上げます。
末尾ながら、皆様のご多幸と貴社様・貴組織様の益々のご発展をお祈り申し上げます。

令和5年元旦
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