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これまでのコラム

第2回 「大きなSDGの総合解を解け(Sの巻、その1)」 所長 藤本 隆宏 2022年1月7日 

大きなSDGの総合解を解け
(Sの巻、その1)

一般社団法人経営研究所
所長 藤本 隆宏

前回、軍師的人材が必要と述べた。高高度において広視野の戦略的思考、地上において「重要な細部」を見切るオペレーション知識、この二つを連続的につなぐことのできる人材である。

まず高高度を見る。軍師人材は、サステナブル・デジタル・グローバルという「大きなSDG」の方程式を解き、全体最適解を出す。これらをバラして個々に対しキャッチーな発言をすれば短期的には受けるが、それは流行と共に消える部分最適解に過ぎない。

まずS(サステナビリティ)。国連が掲げるSDGsの17ゴール169ターゲットは全て重要で、多くが具体的目標値を伴う点が素晴らしい。しかし、これらは羅列的でもある。では17目標のさらに上の大目的は何か。常識的に言えば「不条理な理由で死ぬ人、悲惨な人生を送る人を地球上から一人でも減らすこと」か。

この大目的に対して、17目標は独立してはおらず、その間にトレードオフもバランスも存在する。従って、17を暗記し、貢献できそうなものを見つけてアピールし、どれか1目標の達成を絶対優先すればよいのではない。
例えば、地球温暖化問題の一手段として電気自動車は有効かつ重要だが、他方で、大災害時に備え複数のエネルギー源を地域に確保することも重要だ。SDGsのうち1目標のみを分離して絶対達成(したがって絶対優先)を叫ぶ前に、大目的に鑑みバランスを考えるべきではないか。

天下三分の計も然りだが、高高度においては、人よりさらに高いところから対極的に見るのが、軍師の目であろう。

第1回 「産業の軍師出でよ」 所長 藤本 隆宏 2021年11月1日 

産業の軍師出でよ

一般社団法人経営研究所
所長 藤本 隆宏

2020年代、世界の産業はどのように進化するだろうか。
私は過去20年数年、産業現場の組織能力(Capability)の進化、製品など人工物の設計思想Architecture)の進化、そしてこの2つの動態的な適合が各国・各地域の各産業の競争力(Performance)の長期的趨勢に影響するとみる「CAPアプローチ」および「設計の比較優位説」に基づき、様々な産業現象の過去・現在・未来の説明を試みてきた。なかなか使い勝手が良いので、私はこのCAPアプローチを多用してきた。

これを2020年代に応用するとどうなるだろうか。
結論から言うと、日本の企業・産業にとって苦戦の連続であった過去30年、サイバー空間でメガプラットフォーマに置いていかれた2010年代を経て、次の10年はようやく、戦いようによっては日本企業にとって面白い展開もある、という局面になってきた。その詳細は次回に論じたい。

しかし、うまくやらなければ、また負けるということも予想できる。そこで今必要なのは、世界の大局判断にも現場の局地戦にも強く、大きな潮目を読み切り、頭も体も動く、いわば産業の「軍師」タイプの人材だと私は考える。

彼らが直面するのは、サステナブル(Sustainable)、デジタル(Digital)、グローバル(Global)の3大潮流が複雑に絡み合う、いわば「大きなSDG」のややこしい時代である。そこで必要なのは、ぶれない座標軸を持ち、流行に振り回されず、大きなSDGの連立方程式を解き切る上記の人材である。現世代・次世代から、そうした軍師的才能の続出を期待したい。
                                                        

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