コラム

第9回 SDV(software defined vehicle)の製品開発組織-2

2026年5月20日

第9回 SDV(software defined vehicle)の製品開発組織-2


一般社団法人経営研究所
所長 藤本 隆宏


SDV(software defined vehicle)の製品開発組織を検討するにあたり、SDVの構成要素である自動車、コンピュータ、ソフトウェアの製品開発をあらかじめ再検討していきます。今回は、自動車を取り上げます。

初期の製品イノベーション論は、あらゆる産業に共通するイノベーション成功の一般的な要因を探求するものでしたが、個別産業における製品イノベーション(製品開発)のパターンと競争力(例えば、生産性・コスト・品質・リードタイム)の関係を探索する研究が1980年代に本格化します。

そうした個別産業の製品開発研究の一環が、ハーバード大学における自動車産業の製品開発の国際比較研究です(藤本・クラーク2009:原著はClark and Fujimoto1991)。そこでは、日米欧の自動車企業約20社、約30プロジェクトの開発競争力と関発ルーチンのデータを収集し、実態分析と統計分析を行い、その結果として、競争力の高いプロジェクトは、①製品コンセプトからコミットする重量級プロダクトマネージャー(HWPM)の存在、②製品設計と工程設計を同時進行で行うコンカレント・エンジニアリングの有効な行使、③開発プロセスに埋め込まれた生産活動(試作車や金型)の迅速な製作、④サプライヤーとの有効な共同部品開発―この4つの製品開発能力を特定しました。この調査結果は、自動車のような複雑なインテグラル(擦り合わせ)型アーキテクチャの製品では、現在も概ね有効であると考えられます(藤本・クラーク 2009、Iansiti 1998)。

次回は、コンピュータ産業を取り上げます。


参考文献
Clark K. B. and T. Fujimoto (1991), “Product Development Performance: Strategy, Organization, and Management in the World Auto Industry.”, Harvard Business School Press.
藤本隆宏・キム・B. クラーク (2009), 『増補版 製品開発力:自動車産業の「組織能力」と「競争力」の研究』(田村明比古訳)、ダイヤモンド社
Iansiti, Marco (1998), “Technology Integration: Making Critical Choices in a Dynamic World.”, Boston: Harvard Business School Press.
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